ファミリーの1歩先には親子スタイル

“ささくれ”をつくろう

初めてのエントリーから奇妙なタイトルですが、今回は“ささくれ”がテーマです。そう、指先にできるあのささくれです。
ささくれは親不孝の象徴とされたり、心が荒んだ状態を指したりしますが、別に「親不孝しましょう!」とか「荒みましょう!」というわけではありません。

ここでいう”ささくれ”とは、日々の生活のなかでの出来事をこころやあたまのなかで受けとめるための、ちょっとした”突起”のようなものとしてイメージしてください。


学生と話していると、「どう思った?」「なにか感じたことは?」と尋ねても無反応なことがよくあります。僕がこどもだったころから、授業中に教師から「なんでもいいから言ってごらん?」と言われても、こたえられない-あるいはわざとこたえない-ことはよくある場面でした。でもそこには、「人前でこたえたくない」とか「否定されるのはイヤだ」など、そのこどもなりの”意志”が込められていたような気がします。

ところが最近は、こたえることを拒絶しているようには見えないのに、なにもこたえることができないというこどもたちが多いのです。拒絶や反抗というよりも、どちらかというと”フリーズ”(不調のパソコンのように固まってしまう)状態に近いといえます。

もちろん、無反応の理由は僕が学生たちから信頼されていないから、授業であれば学生たちの理解度が足りないからと考えることもできます。それも一理あるのですが、普段からコミュニケーションをとり、ある程度の信頼関係が構築されていると思われる学生でも、また、授業とは関係なく学生たちの日々の出来事についてコミュニケーションをする場面においても、こうした”無反応”がよく見受けられるのです。

そこでひとつ気になったことがあります。それは、日々の生活における出来事を学生たちが自分のこころやあたまのなかでどのように受けとめているのだろうか?ということです。そこで学生たちの話をよくよく聴いてみると、学生たちは授業やアルバイトや友達関係や就職活動など日々さまざまな出来事に直面していることがわかります。けしてなにもしていないというわけではないのです。

しかし多くの場合、そういう出来事があったということ以上には、日々の出来事を受けとめていないようなのです。つまり、出来事はたんなる出来事として、いいかえると外から受けるたんなる”刺激”として感じているだけなのです。

出来事(刺激)はそのままでは”経験”にはなりません。こころやあたまのなかで、「楽しい」「辛い」「良い」「難しい」…などと意味づけされることで、初めて出来事は経験となるのです。つまり、こころやあたまのなかには、出来事(刺激)をツルッと素通りさせずに、意味づけをしてとどめておくようなひっかかりが必要なのです。こころやあたまのなかにある意味づけのためのひっかかり=突起のようなものを、僕は”ささくれ”とよんでいます。

これは大きくいうと、物事を整理して理解する力のことです。少し難しい言葉でいうと、思考の枠組みとか、分析軸などとよぶのがふつうかもしれません。でも、僕がいまの学生たちにいちばん必要だと感じるのは、枠組みや軸よりももっと手前の段階のものなのです。つまり、ツルッと滑らかになってしまっているこころやあたまのなかに、ひっかかりのきっかけとなる”ささくれ”をつくりましょう、ということなのです。

では、どうしたら”ささくれ”を増やすことができるのでしょう?こたえはもちろんコミュニケーションなのですが、ひとつ具体的な方法を出すならば、親(僕の立場ならば教師)が自分の”ささくれ”をこどもに見せてあげることではないでしょうか。こどもが直面した出来事(刺激)に対して、自分も同じようなことがあってそのときはこんなふうに意味づけしたことがあるよ、というかたちで見せてあげてもいいでしょうし、いままさにこどもと同時に直面した出来事(刺激)に対して、自分の受けとめ方がどのようなものであったのかをさりげなく見せてあげるのもよいでしょう。親子一緒に出かけたり、ニュースを見たりすることは、そのためのちょうど良い機会だと思います。

こどもにとって-おとなにとってもですが-、日々の出来事は必ずしも受け入れやすいものとはかぎりません。”ささくれ”をつくらずにこころやあたまを素通りさせてしまえば傷つくことはありませんが、それでは”経験”になりません。
“ささくれ”ですからしみることもあるとは思います。でも、こどもの”ささくれ”がしみて痛い思いをしないようにと、あらかじめおとなが”マニキュア”を塗ってしまうようなことは、けしてしないように心がけないといけませんね。

(文責 石井雅章)

親子スタイルアドバイス
■お勧めの対象 こどもの無反応に戸惑っているおとなのみなさん
■コメント 身近な出来事を共有して、自分の”ささくれ”をこどもに見せてあげよう
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