ファミリーの1歩先には親子スタイル

入学前課題ってナニ?

 センター試験も大きなトラブルもなく終わり、大学入試はいよいよ大詰めの段階に入ってきました。受験生を持つご家庭では親と子のあいだでは、お互いに気を遣ってしまいちょっとぎこちない雰囲気になることがあるかもしれませんね。

 自然体で接しようとすればするほど不自然になってしまう・・


なんてこともありますが、そういうときこそ親のほうから思っていること・感じていることを率直に言葉にしてみると、子どもから思いがけずたくさんの言葉がかえってくることがあるといいます。

 自分自身のなかに言葉を溜め込んでいるとなんだかモヤモヤした状態になりますが、どちらともなくきっかけを出してみると溜め込んでいた言葉がどんどん出てきて、結果的にスッキリした気持ちになれるのかもしれません。

 さて、前回のエントリーでAO入試のお話をしましたが、AO入試や推薦入試などで早めに合格が決まった受験生たちはいまなにをしているのだと思いますか?もちろん受験勉強はしていないのですが、では高校の授業以外にまったく勉強していないのかというとそういうわけでもないのです。彼ら・彼女らが取り組んでいるのが「入学前課題」と呼ばれるものです。その名のとおり、早めに合格が決まった入学予定者に対して、入学前に課題を出し、取り組んでもらうもので、最近は多くの大学・学部で導入されています。

 なぜ入学前課題を導入する大学・学部が増えているのかといえば、大きくわけると2つの理由があります。

 1つは大学生の学力低下とよばれる現象への対応です。わたしなどは、上の世代からみればいつの時代の大学生も「学力低下」状態に見えるのではないかと思っているのですが、大学入学者の学力の幅(格差)が大きくなっており、大学での教育がしづらくなっていることは確かなことかもしれません。そこで、大学での授業に必要な基礎的な能力を入学前に復習してもらおう、というわけです。それぞれの大学・学部によって求められる基礎能力は異なりますから、数学や漢字を課題にするところもあれば、物理や化学などを課題として出しているところもあります。

 これは大学に入学してからの勉強にきちんとついてこられるように、入学者の基礎能力を”均して”おこうという発想であるといえます。従来であれば、入試によって入学予定者の基礎能力はある程度”均される”(=揃っている)わけですが、大学入学者の増大と選抜方法の多様化によって学生たちの幅がひろがったため、それへの対応といえるでしょう。

 もう1つの理由は、高校(の先生)からのリクエストということです。高校(の先生)側からすると、一方で3年生の3学期まで受験勉強を続けている生徒がいて、他方で3年生の夏休み明けには合格が決まっている生徒がいる、というのは指導がとてもしづらい状況です。すでに合格を決めた生徒たちにいくら「勉強しなさい」といっても、すでに大きな目標を達成してしまっているのでそう簡単にはいきません。そこで、大学側から合格予定者に対して課題を出すことで、少しでも継続的に勉強を続け、翌春の入学まで目的意識と緊張感をもってもらおう、というわけです。

 入学前課題の方法はさまざまです。大学側から教材を指定して自習してもらう方法もあれば、業者が提供している入学前課題用のカリキュラムを送付して勉強してもらったり、実際に大学まで来てもらい講義を受けてもらう、という方法もあります。また、希望者だけが取り組む場合もあれば、入学予定者全員が必須という場合もあります。

 ちなみにわたしの所属する学部では、英語(基本単語の復習)、数学(基本計算の復習)、新聞記事スクラップ作成(社会への関心)という内容の課題を12月までに合格した入学予定者全員に出しています。

 じつはこの入学前課題、基礎能力の向上という本来の目的とは別に、もう1つ大事な役割を果たしているのです。わたしたちが実施している入学前課題では、入学予定者たちにメール登録をしてもらっており、質問がある場合にはいつでもメールで問い合わせができる体制になっています。また、こちら(大学)側からも、お知らせや大学の様子を伝えたり、課題の返送がない人たちへの問い合わせをしたりと、メールを通じてコミュニケーションが取れるのです。

 これらのメールはお互いに名前を書いて送るので、入学前課題に関するメールのやりとりを通じて、入学するまえから(なんとなくですが)学生の名前とイメージ、場合によってはちょっとしたエピソードが記憶されます。また、学生の側も入学前課題でやりとりをした教員だったという印象が残りますので、入学後に教員に声を掛けやすくなる(はず)という効果があるのです。

 このように入学前課題には、コミュニケーションツールとしての役割があると思っているのですが、家庭でもおなじようなことがいえるかもしれません。もしご家庭で子どもさんがなにか課題に取り組んでいるようであれば、一緒に解いてみたり、面白そうな記事を探してみたりしてみてはいかがでしょうか?

(文・石井雅章)

親子スタイルアドバイス
■お勧めの対象 受験生とその親のみなさん
■コメント 課題はやらなくてはならないもの。でも、大学入学後のイメージを膨らませたり、親子で一緒に取り組んだり、親子の会話のきっかけとして利用すれば楽しく取り組めるはずです。
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