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就職活動で大切なのは「アピール力」?

 OSGの子どもたちを持つ親のみなさんにとって、受験と就職は意識せずにはいられない関心事ですよね。これまでのエントリーにも受験や就職にかかわる記事がいくつかあります。それぞれのブログ記事の下には「トラックバック」とよばれる欄があり、記事に関連するほかの記事がリンクされているものもありますので、関心のある方はぜひ"まとめ読み"してみてくださいね。

 わたしは「現代政策学部」(この名称の学部は現在のところ日本で1つだけのようです)という設立されてまだ3年目の新しい学部に勤めているのですが、初年度に入学した第一期生たちはいままさに就職活動の真っ只中にいます。このような経済状況ですから、当然厳しい就職活動にはなりますが、だからといってそこから逃げるわけにはいきません。

 そこで、学生たちには「自分ではコントロールできないもの(=たとえば現在の経済状況)を悔やんだり、案じたりしていてもなにも変えることはできないのだから、自分で変えられるものに力を注いでいこう」と伝えるようにしています(とはいえ良い結果につながるまでは長い道のりです。励ますほうも励まされるほうも大変ですね)。
 
 「自分で変えられるもの」のひとつとして"コミュニケーション力"が挙げられます。もちろん、他人と話すのが得意な人もいれば苦手な人もいますし、自然体で相手と向き合える人もいれば、過度に緊張してしまう人もいます。すべての人が同じようなコミュニケーション力を持つことはできませんが、自分なりに意識をして、工夫をして、向上させていくことはできるはずです。

 さて、就職活動で求められるコミュニケーション力というと、どうしてもアピールする力(=プレゼンテーション力)とイメージしがちです。たしかにその力は重要だとは思いますが、わたし自身はそれよりももっと大切なものがあるのではないか、と考えています。就職活動において大切なことは、自分の良さを相手に伝えること、理解してもらうことです。自分の良さを企業の人に理解してもらい、相手にこの会社で一緒に働いてもらいたいと思ってもらえれば採用につながりますし(もちろん絶対とは言えませんが...)、自分の良さをうまく伝えられたとしても相手がそれを理解できないようであれば、それは仕方がありません(→それは「自分ではコントロールできないこと」だと思えばよいのです)。

 自分の良さを伝えて相手に理解してもらうこと。これが就職活動で求められている重要なコミュニケーション力のひとつだと思うのですが、では「アピール」や「プレゼンテーション」とはどこが異なるのでしょう?わたしには、(狭い意味での)「アピール」や「プレゼンテーション」は、自分が思っている「自分の良さ」を自分の頭のなかにあらかじめ用意しておき、それを一方的に伝える行為に思えるのです。

 自分の良さはなんだろう?と時間をかけて考えることはとても大切です。ただ、その内容をエントリーシートや面接を通じて相手に伝えさえすれば、自分の良さを相手に理解してもらえると考えるのはちょっと短絡的なような気がします。つまり、より大切なことは、自分が考える自分の良さを、相手が求めているかたちで伝えること、なのだと思うのです。そのためには、自分のことをアピールしようとする以前に、相手のことを知ろうとする姿勢が求められます。

 そこで役に立つと思われるのが、以前のエントリーにもあった「傾聴」という態度です。面接の場面では(わたし自身が体験しているのは就職ではなく受験の場面ですが...)、あらかじめ用意したアピール内容を伝えることを意識しすぎて、相手が求めている内容を答えられず、自分の良さを伝えきれないということがしばしばあります。せっかく目の前に実際の面接官が存在しているのにもかかわらず、面接官の背後に抽象的な"面接官像"を作り上げてしまい、まるでその"面接官像"に向かって一方的に話をしている感じです。

 「エントリーシートのこの部分に反応してくれたということは、自分のこういう部分を知りたがってくれているのだな」とか、「こういう質問をしてくれるということは、自分の○○な部分を評価したいと思ってくれているのかな」などというように、聴く姿勢を通じて得られることはたくさんあるのです。そのうえで、「相手が求めているものがこうならば、用意しておいたエピソードのこの部分を強調して話そう」なんて考えることができれば、自分の持っている良い部分を相手に伝えやすくなります。そして、なによりもそういうコミュニケーションができる人間なのだということ、つまり本当の意味で優れた"コミュニケーション力"を持っているということを相手に理解してもらうきっかけにもなると思うのです。

 自分の良さを伝えたい、相手に理解してもらいたい。だからこそ、「傾聴」の能力が求められる。親子関係にも、就職活動にも、そしてもちろん教育の場面にも共通することなのかもしれません。

(文・石井雅章)

親子スタイルアドバイス
■お勧めの対象 就職活動中の子どもをもつ親・保護者のみなさん
■コメント 「聴く」ことは「話す」ことより簡単にできそうというイメージがありますが、そんなことはありませんね。具体的なアドバイスは心理カウンセラーの橋本理津子さんが書かれた以前の記事が参考になります。
■参考 子供の気持ちを知ろう(聴き上手になろう)

※当サイトのコラムはスタッフ個々の私的な見解及び文責にて公開されております。

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 コメント(2)

聞く能力実に重要ですっていうか、これがなければまず100%面接はおぼつかないです。
面接者の意図をきちんと理解する能力と、自分のことを話すことができる能力は車の両輪のようなものですね。

相手が何を聞きたいのか、聞きたいことは100%きちんと話し、聞きたくないことは話さないという当たり前のことが実に難しい。

娘に聞いた話ですが、グループ面接で「何か質問はありますか」と言われたときにびっくりすることを聞く人が多いそうです。担当者が返答に困って苦笑いするようなことだったりするそうです。「何でそんなことを聞くんだろう」と不思議だったそうです。
そしてある時娘は気づいたそうです。この人たちは「自分が聞きたいことを単に聞いているんだ」と。

それ自体は間違いではないんでしょうが、採用面接の場で質問もその一環という自覚があれば、相手が眉をひそめるような質問よりは、つい嬉しくなって語ってしまうような質問をするほうが得策ですよね。

就活だけでなく、一般のビジネスでも大切なスキルですね。

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