ファミリーの1歩先には親子スタイル

白黒をつけたがる態度について(前編)

分かりやすいものは面白い。
とかく人間は白黒をつけたがるものだ。

マスコミの論調はまさしくこの上に成り立っている。
コメンテーターはまったく事件や、政治の現場などから無関係な安全なところにいる。物事の本質をわかってもいないのに、無責任にそれは正しくないと断定する。

実際に事件を起こした人には、同情に値する理由があるかも知れない。ひょっとしたら実際は逮捕された人は冤罪かもしれない。

決定に至った政策についても、やむにやまれぬ妥協の産物であることがほとんどだ。決定に至る苦渋の過程を知らず、知ろうともせず、一刀両断に切って捨てる。

さて例を挙げて、一刀両断にすることの危険性について論じてみたい。

実名報道の問題を例に挙げてみよう。
未成年者が残虐な犯罪を行った際に、実名を報道するかしないかという問題。

  1. 判断能力が十分でない少年の犯罪に対して実名を報道するのは酷である。また、更生して社会復帰する際の妨げになるため、報道すべきではない。
  2. 少年であるということを考慮に入れても、残虐な罪を犯したのであれば、報道されてしかるべきである。

この二つのいずれかに大多数の論調は集約される。またコメンテーターは2.を支持したいという立場を取ることが多い。
私はいつも思うのだが、どうしていつもこのような両極端になってしまうのか?と不思議なのだ。

もっと、深く掘り下げて考えてみると、
「そもそも、実名報道は必要なのか?」
という問題がある。

さらに言うならば、
「個人が犯した犯罪を報道することの意義は、どこにあるのだろうか?」
という問題に突き当たるのである。


それに答えられるマスコミ人がどれだけいるのか?ということがそもそも疑問なわけである。
まず、実名で報道することの意味というのは「罪を犯した人間に対する懲罰」と「記事を見た人に対する興味を満足させる」という二つの意味があると私は考えている。

これは正しいのか考察したい。
「推定無罪」の原則は有名である。有罪の証拠を固めて、刑が確定するまでその人は無罪であるという前提で考えなくてはならないという考え方だ。

それであるならば、逮捕された時点でマスコミから実名報道という懲罰を受けるのは、はなはだ非合理であるということになる。実際に、裁判の結果によって冤罪であったということが確定した被告が、すでにマスコミによって広く犯罪者として周知されてしまっている場合、名誉を回復することは非常に難しい。

また、有罪判決が下ったからといって、それが正しいとも限らない。冤罪事件はたくさんある。痴漢冤罪はいうまでもなく、言葉が通じない外国人が容疑者であった場合などは、ろくな取調べをおこなうことができないまま、有罪になるというケースはよくあるらしい。

冤罪であるかもしれない。ということを考慮するならば、永遠に実名報道の機会は訪れない。

もっと根本的な問題がある。
そもそも、マスコミに犯罪者を罰する権利はあるのか?という問題である。刑罰は法律によって定められており、裁判という公正な手続き(ということになっている)を経て決定される。
ところが、公正な手続きを経ることなく、マスコミはいくらでも報道することができる。大きく報道すればするほど、容疑者の名誉を毀損される。このような欠席裁判のような仕組みが許されていいのか?ということである。

また、どのニュースを報道する、しないはマスコミの判断に任されている。万引きのような普通は取り上げられない罪であっても、場合によってはニュースになってしまうことがある。
マスコミは権力であり、微罪を犯しただけの人であっても社会的に葬る力を持っているのだ。

別の観点で考えてみよう。

犯罪者が罰せられる。それは当然のことだし、罰せられなければならない。しかし、家族、血縁者などが罰せられるというのはどうだろう?

宮崎勤という死刑囚がいた。「いた」と過去形なのは死刑が執行されたからである。それはごく最近の出来事なので、おぞましい記憶をよみがえらせた人も少なくないだろう。

宮崎勤という犯罪者が死刑になる。それは現行の法律に照らせば当然の決着である。しかし、その父が自殺し、姉の縁談が破談になり、一家が離散したという事実はあまり知られていない。本人が罰せられるだけではなく、家族にも苛烈な懲罰が課されたわけである。

後編は明日掲載です

(文責:田村義隆)

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