ファミリーの1歩先には親子スタイル

潔い人

先日、見事米国アカデミー賞を受賞した「おくりびと」で主演を務められた、本木雅弘さん。彼は私が少女の頃にはすでにキラキラしたスタートして君臨していたので、私はあまり憧れを抱くことはなく、逆に、彼が結婚した内田也哉子さんという、自分と年齢の近い、目の大きな、ふんわりとした女性の方に、強い関心を抱いたものである。
こう言ってはなんだが、彼女というミューズがいなければ、本木さんの今日の栄誉はなかったのではないかと思う。

エキセントリックなロックスターである内田裕也さんと、演技派女優である樹木希林さんの一人娘として生まれ、わずか19歳で「モックン」こと本木雅弘さんの妻になり、母となってからは実力派歌姫であるUAとママ友、という彼女は、七光りと簡単に言えないほど、そんじょそこらの下手な芸能人二世よりも世間的に重いプレッシャー、一人でも嫌になるくらい濃過ぎる身内と友人からの影響、マスメディアの注視・干渉を受けながら育った方であるにも関わらず、独特の、ふんわりした雰囲気の中にも、どきりとするような鋭い感性による世界を構築して、私のような同世代をはじめとする女性たちから支持を得ている。

彼女はどうやって、あの独特な感性を持ったまま成長できたのか。


結婚直後に也哉子さんが執筆した「ペーパームービー」には、彼女と父君の馴れ初めや、静かだけれども深い愛情が少しずつ育っていく様子だけでなく、確かに、世間一般のそれとは大きく違い、かなり非常識で、危険性の高いものではあるのだけれど、「也哉子」という大切な命を、それはそれは大切に育てられた、ご両親の様子が伝わってくるエピソードが満載である。

也哉子さんが実は無認可だったインターナショナルスクールに通っていたために、日本の義務教育を再履修しないといけない、と役所で言われた際、
「そうですか、ではそのようにいたします」
とお答えになり、18歳で小学校卒業か、と也哉子さんを青ざめさせたらしい。

「今まで自分たちが勝手に、決まりを守らないでいて、今度も勝手に戻りたいとわがままを言っているのだから、相手のルールにしたがうのが当たり前とういわけだ」

この潔さに役所の人は感動する。彼が今まで遭遇してきたのは、ヒステリックに怒り出すか、何も言わずに帰ってしまう、

「規則を守らなかったのはどっちだ」

という人ばかりだったという。彼女たちと違い、一言も弁解せず、自らの非を素直に認め、受け入れた希林さんの態度のお陰で、也哉子さんは無事、年齢通り、公立小学校の6年生になることができるが、今まで自分が生きてきた自由で、個性的なインターナショナルスクールの校風とは明らかに違う、閉塞的な雰囲気に何度も挫折しかかる。

「自分に起こる大半のことは、自分に原因があるんだからね」
「自分が変われば周りも変わってくるの。相手に何かを求めるんじゃなくて、自分が変わるように努力するの」

希林さんはどこまでも潔い。自己を通すのに主張ばかりしているようではいけない。それはほんとうの個性でも主義でもない。私はここを読んで、はっとなった。

私たちデザイナーと呼ばれる職にあるものは、それがどんなジャンルであれ、相手の求めるものを作れなければ意味が無い。自分の作りたいもの、表現したいものだけを押しつけてしまっては仕事にならない。

子育てや人間関係も同じで、どんなに素晴らしい教育法や才能であっても、周囲に理解されず、相手に受け入れられないものであれば意味は無い。
子ども同士のいさかい・トラブルであっても、対人間であることに変わりなく、親や教師がしゃしゃり出るのではなく、自分で解決しない限り、根本的な解決には至らない。

希林さんの言葉にしぶしぶ従った也哉子さんには、数年後、得がたい経験と友人ができた。それを希林さんは、

「両方ともお互いを認めて受け入れることをおぼえたの。大きくなったのね」

と評価する。そこには希林さんの愛情と、人生や育児に対する真摯で、確固とした信念を感じる。
子育てをしていく上で親に必要なのは、いざというときに自分の非を真正面から受け入れることのできる潔さなのかもしれない。

(文:平野だい)

親子スタイルアドバイス
■お勧めの対象 ほんとうの意味で個性的な教育をしたいと思われる方
■コメント 今子育てをしている方だけでなく、これから新しい学校や社会に出て行くOSGの方へのプレゼントにも
■参考 ペーパームービー
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[平野 だい]
(2009年03月19日 00:48) 個別ページ
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