ファミリーの1歩先には親子スタイル

ミステリで楽しむアメリカ育児事情

公立小学校に入学していい加減3年も経つのに、いまだに慣れない部分が少なからずある。
特に、幼稚園卒業組のママさんたちとは未だにそれほど交流が無く、先日も、あることで意識の違いのようなものを知ることがあり、自分の未熟さと浅慮に恥じ入った。

基本、毎日子どもを朝から晩まで保育所に預けているワーキングペアレンツやシングルペアレンツは、子どもの成長をなかなか目の当たりにすることができない。保育士の先生方のお陰で、気づいたらできていた、ということが多い。
子どもがある程度大きくなり、運動会など、親も参加できる行事が増えればいいが、小さい内はそれもないので、日々の様子を撮影した写真は非常に貴重なものとなる。
また、お仕事によっては、土日開催の行事にも参加できない方もいるので(自分自身が教師である人などは運動会の日程が一緒になるなどよくある)、参加できる親が頼まれて、代わりに写真を撮ってあげる、などは当たり前だった。
その感覚で、私は小学校に上がってからも写真をまめに撮り続けていたのだが、これが中には「気持ち悪い」「非常識」と受け取るママさんもいらしたらしい。

確かに、平日昼間家にいて、いつでも授業参観ができたり、下のお子さんが同じ敷地内にある幼稚園に通っていたりすれば、まめに子どもの様子が見れるので、必死になって写真を撮る必要が無い。
個人情報保護や児童を狙った犯罪が多発している現在、うっかり子どもの写真を撮ることも重々気をつけねばならないことなのである。

私はこのあたりの配慮に欠けていたと思う。
立場を変えてみれば、確かに人の子どもをやたら写真に撮る私は非常識であったし、プリントが面倒くさいし、費用もかかるので、DVDにまとめて渡していたのも、かえってマニアックに思えて気持ち悪かっただろう、と反省しきりである。
以前、第一子はハウスママで、第二子からワーキングママになった友人が、

「保育所のママは、お金を出して預けているから当然、働いているから当然、という気持ちが少なからずあるけれど、それは甘い。
小学校に行けば色々な家庭があるし、親が自らやらないといけないことも多い」

と言っていたことはこれか、と、今頃納得しているようでは、社会人としてもまだまだである。

さて、枕が長いのはご愛嬌、同じ日本の、同じ地域でもこの意識差である。
日米のPTA活動事情、子育て事情の差はいかなるものであろうか、という疑問を持たれた時、ぜひお勧めしたいのが、ジル・チャーチルの「主婦探偵ジェーン・ジェフリィ」シリーズである。


非常に残念なことに、このシリーズの翻訳を手がけておられた浅羽さんが急逝したため、一時はどうなることかと思われていた日本語訳も、後継者である新谷さんが読者の気持ちを慮られたのか、「浅羽テイスト」そのままに訳され、今後も続いていきそうな雰囲気ではあるが、もし少しでも英語に抵抗がない、英語を勉強したい、という方であれば、一度、原書ペーパーバックで読むことをお勧めする。

私は浅羽さん急逝前から我慢ができず、原書で読んでいるが、それほど難しい文章ではなく、スラングも少ないので(私が愛読する「ステファニー・プラム」シリーズはすごいスラングの嵐なのだが)、英語教材としてはうってつけであるが、それだけではない。
主人公が子育て(それもまさにOSG世代の)中の主婦なので、アメリカ中流階級の生活や文化が細かに描かれ、自然と色々なことに詳しくなれるのである。

アメリカのお母さんって大変だわー、と、しみじみ思うのが、高校までは親が学校まで子どもを送迎するのが当然であり(免許と自分の車を持てば一人で行ってくれるけど、それは別の意味で心配だし、免許が取れない間利用するスクールバスはお子ちゃまの象徴なので子どもが嫌がったりするらしい)、日々の送迎に始まる家事・育児・仕事・PTA活動だけではなく、地域活動や慈善活動にも参加するのが当然の義務として存在し、実際にそれをこなしているということである。
クリスマスの時期など、学校のクリスマス会や終業式だけでなく、教会のクリスマス会やバザーも行い、その合間に家族や友人知人を招いてのクリスマスパーティまでひらくのである。その間も日常の家事や育児はあるわけで、主人公のジェーンが、

「だめ、もうできない。もう限界」

と、呟くのもよくわかるし、日本のママ、いや私にはもう無理、と、想像だけで白旗を揚げる有様である。

子ども達とのコミュニケーションや部活動、アルバイト、受験なども、日本とは違って、

「子どもが決めて、親はそれを支持し、援助する」

という姿勢が貫かれているのも凄い。さすがは個人主義、我が子であっても一個の人格なので、最終的には本人の意志が最優先、というわけである。
(まあ中にはそうもいかない家庭もあるでしょうけどね)

シャーロット・マクロウド亡き後、アメリカのコージィ・ミステリを代表する作家でもあるジル・チャーチルは時代物ミステリのシリーズも書いているが、OSG世代を子に持つ方は、ぜひジェーンと一喜一憂する楽しみから始めていただきたいと思う。

(文:平野だい)

ゴミと罰 (創元推理文庫 (275‐1))
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Grime and Punishment (Jane Jeffry Mysteries)
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