ファミリーの1歩先には親子スタイル

wktkで、ktkrな本 『1Q84』

はじめまして、巻尾です。
雑誌や本の編集をしながら子育てしてきて、とりあえずいつも何かしら本がある、という生活を送っています。
そんなわけでこちらでは、日々出会った本の中から、面白いものをご紹介していければ、と思います。

と、タイトルからネット語炸裂で、不審ですよね。すみません。
普段は携帯でも絵文字は使わず、ネット用語も押さえはするけど書くのは気恥ずかしいお年頃ではありますが、このwktk(ワクワクテカテカ=期待いっぱい)とktkr(キタコレ=好きなものに出会った)は、ちょっと気に入っています。この感覚、いい本に出会った時の気分に、かなり近いのです。


冒頭の通り、本は日々欠かせないのですが、その顔ぶれは千差万別です。仕事のための未知の分野の専門書、ネタとして読むビジネス書、趣味で読む小説、自分と、子どもの漫画、読み聞かせの絵本、児童書、YA、ライトノベル、等々をパラレルに読んでいて、かなりなカオスです。本が好きで、自然とお子さんにも本をたくさん与えてきた、という親御さんなら、似たような状態かもしれませんね。

ちょっと家では読めないかも、という反モラルな題材の文芸書と、夏休みの課題図書みたいな本を、同時に読んだりするわけで、これをどうやって消化するか、というのが長年自分の中でテーマになっているのです。

それが、「ワクテカ」と「キタコレ」の軸でみると、大人の本も児童書も、ビジネス書さえも、「これは好き」「ピンときた」という感覚で、すんなり受入れられるのです。「あー面白かった!」と本を閉じる快感、これがあればいい、と原点に戻った気がします。ネットの住人さん、ありがとう、というかんじですよ。その感じを、子どもも、大人になりかけた子どもも、味わってほしいな、と思う次第です。

前置きが長くなりましたが、最近”キタ”本をあげるならば、いわずとしれた、村上春樹『1Q84』です。7年ぶりの大長編、200万部突破といった社会現象として報道され、作品に関しても多くの書評、さまざまな論争で出版内外で注目されている、間違いなく今年度の最重要作品です。なにも今さら私ごときが語らなくても、とは思いますが、”wktk感でカオスを消化する”という意味では、これぞまさに、という作品なので、ぜひ。
バブル期の日本、新興宗教、女子高校生作家のベストセラー小説など、現実社会で目にしてきたモチーフと、反社会的な行い、非合法な活動、家族間の葛藤など人間の営み、それらが作用し合って、別の世界を作り出す。善も悪も、正も負も、かつての村上ワールドも初めて見る世界も、あらゆるものが織り込まれた大きな物語に、ただ圧倒されました。

村上氏は「携帯もパソコンもない時代設定でなければ書けなかった」といった発言をしていましたが、それでは携帯とパソコンがないと生きていけない今の若者は共感できない話か、というと全くそんなことはないでしょう。「心から一歩も出ないものごとは、この世界にはない。心から外に出ないものごとは、そこに別の世界を作り上げていく」というフレーズに、ライトノベルの傑作『涼宮ハルヒの憂鬱』を連想した人はきっと少なくないはず。主人公の天吾と青豆が、出会えないけれど運命の恋人というのは、耽美系漫画家楠本まきの『恋愛譚』を思い出しました。
ジャズや料理、性描写など、”村上節”に入りにくい(または、すすめられにくい)若者も多いかもしれません。が、本書の重要人物、17歳の女子高生ふかえりに、同世代はきっと何かを感じると思う。高校生以上なら読んでほしいし、感想を聞いてみたいものです。

そんなわけで、子どもに読んでもらいたい大人の本、大人も読みたい子どもの本を、ジャンルにとらわれず探していきたいと思います。どうぞよろしく!
(文・神谷巻尾)

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