こんにちは、巻尾です。
親子スタイルに参加するようになり、「就活」の話題を目にすることが多くなりました。自分の子には実感がわかず、まだカッコつきの言葉の印象がありますが、でも上はもうじき高校生、そろそろ将来のことも考えないと、というか考えさせたい、と思うこのごろです。
そんな折に出会ったのが、高野秀行著『放っておいても明日は来る』です。
著者は、辺境に幻獣を探しにいったり、秘境やジャングルを探検する、"辺境作家。本書も、サブタイトルの「就職しないで生きる9つの方法」のとおり、日本を飛び出し、アジアできわどい経験をしたり、突然ビジネスを始めてみたり、といういわば自由に生きる人々を紹介する本でもあります。
まあこういう本は結構あるかもしれませんが、面白かったのは、これが上智大学に著者が呼ばれて半年間担当した「東南アジア文化論」の講義録だということです。「東南アジアを生で経験している人を呼んで話を聞こう」と、毎回ゲストを呼んで対話形式で講義を行ったら、毎回好評で、しかも話を聞いた学生が、「癒されます」と言うのだとか。
どうやらこの不況下就職活動は厳しく、三年生から延々と就活をする学生は、非常に不安な状態。そこで、ゲストの「明日のことなんか考えない」「てきとうにやっててもなんとかなる」といった話を聞くと、気持ちが軽くなって就活に余裕が出てくる、というのだそうです。
確かに、本書に登場するのは「てきとうにやってなんとかなった」人ばかりです。海外勤務直前に会社がなくなったけどとりあえず現地に行って、そこでふらふらしながらビジネスを自分で立ち上げたり、ダイエットのためにボクシングを始め、その流れでタイに行き、プロのムエタイの選手になったり(女性です)、映画館経営などを経て「名前がいいから」とラオスのビエンチャンに行ってカフェをオープンさせたり、などなど、本当に適当ながら、みんなちゃんと生活が成り立っています。
しかも、1966年生まれの著者の同世代、40代前後の大人ばかり。若気の至りをとっくに超えて、それでもきちんとくらしているというのは、こちらも同世代としてうれしくなります。
夢を持とう、あきらめなければ絶対かなう、とは、子ども・若者に向けられた文脈によく出てきますが、裏を返せば、それ以外の選択肢を消している、ともいえますよね。そうじゃなく、そのときどきで、よさそうなものを選ぶというやり方だって、結構いいもんなんだなあ、と思える余裕が、子どもにも大人にも今あったほうがいいかもしれません。
ただし、単に"てきとう"だけではない、というのを感じられたのが次の一文。
「オレは好きなことだけをしてきたけど、好きなことは必ずしも楽なことではない」「楽なことを選んだことはない」
楽にくらしたい、楽に儲けたい、というのが今蔓延している気がしますが、好きなことをするのは楽なこととは違う。これは子どもにも実感させたいな、と思います。
(文・神谷巻尾)
div id="ad_1">親子スタイルアドバイス
■お勧めの対象
高校生〜就活生、大人
■コメント
"明日のことなんて考えない""てきとうにやっててもなんとかなる"を実践している大人に、拍手!
上智大学の「東南アジア文化論」とっても興味ありますねー。
まずは本読んでみたいな。
私は計画的なようでいて計画的でないので、フラッと行ってやっちゃうっていう感覚は案外好きです。
子供ではなく、自分がそういう生き方をしてみたいって感じですね。
おっしゃるように、ぜんぜん楽じゃないだろうと思いますけどね。
rionyanさん、
こんにちは。
上智大学の講座は、半年限りの特別授業のようですが、
この本を見る限り、公開トークショーのようですね(笑)
確かに子どもにっていうより、自分に寄せて読んでいました。
大人の本で子どもにも勧めたい、というのは、そういう本が多いような気がします。