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ナデシコの武士道

草食系男子などという人種が現れる一方で、昨今の女子の活躍たるや、めざましいものがある。
我が愛する地元サッカーチームのジェフも、トップはとうとう二部落ちというていたらくでありながら、女子は一部に上がり、健闘している。
息子がジェフのスクールに通っており、ユースやジュニアユースのおにいちゃん・おねえちゃんたちと練習場で一緒になったり、たまに練習に参加していただくことがあるのだが、サッカー選手より、モデルになった方が・・・?という美少年や柔らかなルックスが多い男子に比べ、闘志剥き出しで筋トレに励む女子の方が、なぜか迫力があるのも、今の時代を象徴しているような気がしてならない。

サムライの魂である武士道も、どうやらナデシコの時代になりつつあるようで、少女期に親しみ、今は息子も修行しているとはいえ、地味で、きつくて、くさい剣道が、まさか人気美少女アニメや、若手女優主演映画のテーマになる日が来るとは、さすがに想像できなかった。

驚いて、とりあえず、図書館で借りれるという理由から、誉田哲也氏の「武士道シックスティーン」を読んでみた。
可愛らしい装丁、剣道の試合にちなんだ紅白のしおり、なにより、「武士道」という言葉に続く、「シックスティーン」である。

「人口の少ない世界だからって、適当にネタにされただけじゃ・・・」

という危惧があったのは否めない。しかし、読み始めてすぐに、作者がネタではなく、剣道というものに知識があるだけではなく、深い愛情と、哲学を持って書かれた作品なのだ、ということが感じられた。

剣道家の父を持ち、3歳から竹刀を握り、厳しい師匠の下で鍛錬を積んできた香織。彼女が「わけもわからない内に」敗北を喫した相手は、なんと、日本舞踊から転向した、年季も浅い早苗。
「五輪書」を愛読し、ミスドも100均も知らず、ただひたすら剣の道を究め、勝敗にこだわる香織と、「剣を構えたときの自分」を追及する早苗は、お互いを唯一無二の好敵手として認め合い、罵倒し合いながら、剣道を通じて「自分」を探していく。

シリーズを通し、この二人を中心に、作者から見た、現代剣道の抱える問題や、剣道というものの本質についての考察が書かれているにも関わらず、全く剣道を知らない人でも、自然と作品世界が理解できる点が凄い。更に、主人公二人だけでなく、主人公の家族、友人、師匠たちの内面も詳細に描くことによって、十代という年代が抱く感情や、直面する問題についても描かれているのである。

今年、映画化されるが、それに先んじて、少年漫画・少女漫画両方で漫画化されており、そちらもそれぞれの漫画家の味が出ているだけでなく、剣道初心者にもわかりやすい作品となっている。(少年漫画版の方が、香織がメガネっ子になっているあたりが、なんだかな、と思わせるが、萌え要素を無理に持たせた結果でしょうかね)
小説はヤングアダルトになるが、文字はちょっと・・・というお子様には漫画版で楽しんでもらい、親御さんは小説版を読んで、背後からうんちくを語り、お子様の尊敬を得る、というのもよいかもしれない。

すっかりハマった私は、現在、武士道サーティ・シックスを目指し、素振りに励んでいる。
さてどこまで続くことやら。

(文:平野だい)
















親子スタイルアドバイス
■お勧めの対象 武士道・剣道に興味のある方
■コメント 剣道という武道を通して、十代が抱える様々な問題が描かれています。ほんとうに面白いですよ!
■参考 武士道シックスティーン(wiki)

文藝春秋特設サイト

映画公式サイト


※当サイトのコラムはスタッフ個々の私的な見解及び文責にて公開されております。

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