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話題の本・『もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら』

バンクーバーオリンピックも残りわずかですね。日替わりでいろんな競技に釘付けになり、やっぱりスポーツはどんなものも面白いわー、と素直に感動する日々でした。根が単純なので、そんなときは本もスポーツがらみのものに目がいったりします。
このところスポーツ競技や部活を題材にした小説が増えていて、惹かれる作品も多いのですが、今回選んだのは、ビジネスと高校野球のコラボで話題になっている『もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら』です。


 野球部のマネージャーになった女子高生が、マネージャーについて勉強しようとして勘違いで購入したのが、組織経営についての名著、ドラッカーの『マネジメント』。読み進むうちに、その理論は野球部の運営に生かすことができると確信し、数々の改革をおこない甲子園をめざす青春小説、というのが本書です。

 ビジネス書的な内容を若い世代向けの小説仕立てで、というのは、山田真哉『女子大生会計士の事件簿<img src="http://www.assoc-amazon.jp/e/ir?t=makiolog-22&l=as2&o=9&a=4043767013" width="1" height="1" border="0" alt="" style="border:none !important; margin:0px !important;" /』の大ヒット以来ひとつのジャンルになっているようですが、ビジネスと高校野球という組み合わせの意外性、表紙や挿画の萌え系イラストなど、さらに斬新な手法で、読みたくなる仕掛けは十分です。

 読み始めると、その仕掛けは次々あらわれます。まず、野球部のマネージャーの名前が「みなみ」。『タッチ』の朝倉南を想像しないわけにいかないでしょう。この名前をあえてつけるだけの何かがあるにちがいない、と思わせてくれます。病気で入院中の親友、都立進学校の弱小野球部、バラバラな部員、不真面目なエースなど、青春小説に必要な素材は十分揃った、という導入です。

 普通の青春小説なら、努力や友情、チームワークで困難を乗り越え、ついには夢をつかむ、というのが定石の展開でしょう。この本は、そこにドラッカーの経営理論が登場します。『マネジメント』に心酔したみなみは「顧客によって事業は定義される」という一節に、野球部の顧客って誰? 事業って野球じゃないの? と悩み、「マーケティングとイノベーションだけが成果をもたらす」とあれば、マーケティングとして部員や監督から話を聞き、高校野球界の常識を覆す戦術を考え、イノベーションを起こすのです。読み始めは、女子高生が「『マネジメント』にはこう書いてあるわ」と、ビジネス書を引用しているというのは違和感がありましたが、それを自分なりに解釈して、実践していく姿には、次第に引き込まれていきました。利益を追求するビジネスと、アマチュアスポーツの代名詞ともいえる高校野球が、実は根本で通じるものがあるのか、という意外な発見感がありました。

 あまりにも順調な展開や、予定調和的な事件、解説的にものごとがすすむ部分が気にならなくもなかったですが、終盤、試合や観客席の描写でスポーツ小説らしさも味わえました。著名な成功哲学書を読んだときのような「読んでいると、自分もできる気がする」といった高揚感からぐんぐん読み進んでしまいますが、もしかしたら、それって青春小説やスポーツ漫画の楽しさと同じなのかも。中高生も、ビジネスマンのお父さんも、一緒に楽しめる本かもしれないですね。 
(文・神谷巻尾)

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