ファミリーの1歩先には親子スタイル

気になる本『ぼくらは海へ』

 この親子スタイルで、子どもの本について書かせていただいて1年近くになりました。絵本以降の児童書選びって難しい、実際どんな本が読まれているんだろう、という疑問から始めまたのですが、そんな興味がつのり、つい先日からこんなサイトを始めてみました。児童書・YAレビュー「ティーンズブックス.jp」です。

 仕事で知り合った学校図書館司書さんや、本好きなティーンズのママや、ネット上で児童書レビューを書いている方に声をかけ、おすすめの本を紹介してもらっています。まずはイチオシの1冊から書いてもらいましたが、ラインナップも個性的で、”児童書読み”の奥深さを実感しています。


 その中の1冊で、私も全く知らなかった『ぼくらは海へ』を読んでみました。

 作者は「ズッコケ三人組」でおなじみの、児童書作家の重鎮、那須正幹。1980年に偕成社から刊行され絶版となっていたのが、この6月に文春文庫から復刊したものです。レビュアー、yamada5さんの紹介はこのように締められています。

様々な論争を呼んだ結末については、ここでは触れないことにします。まだ読んでいない方は、文春文庫版でぜひ自分の目で確かめてみてください。30年も昔の児童文学がここまでの高みに達していたという事実に驚かされるはずです。

 なんとも胸騒ぎのする一文に惹かれて書店で見つけた本書の帯には、こんなコピーが。

那須さんは、この作品に毒を盛った。 —-あさのあつこ

 こんなに期待と恐いもの見たさが入り交じって児童書を手にすることがあっただろうか、という出会いです。

 物語は、地方都市の小学校6年生男子が、埋め立て地でいかだを作り海に乗り出して行くことを主軸に、彼らの日々を、学校や塾、家族の模様を描きながら進んで行きます。しかし、進んで行く先は、決して明るくない。冒頭、埋め立て地の情景描写がすばらしく、いい作品を読めるという安心感を持つのもつかの間、すぐに少年の屈折した感情が見え隠れし、何かが起こる、という嫌な予感が訪れます。
 少年、海、いかだ作りというモチーフから想像される、友情や冒険、協力といったテーマはもちろんありますし、そこに楽しさもあります。しかし、根幹にはその背後にある、子どもたちの葛藤、焦燥感、鬱屈などがあります。そんな感情を生み出す要因となる、それぞれの家庭や、学校、塾の大人たちの言動の記述も容赦なく、読んでいて苦しささえ覚えます。
 衝撃的な後半の展開は、子ども、大人それぞれに、さまざまな思いで心が揺さぶられることでしょう。こんなにスケールが大きく、毒のある児童文学があるんですね。

(文・神谷巻尾)

※当サイトのコラムはスタッフ個々の私的な見解及び文責にて公開されております。
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