ファミリーの1歩先には親子スタイル

今読みたい本『みえない雲』

 1冊の本をみんなで読み感想を話し合う「読書会」が最近人気のようですね。これまで機会がなく参加したことがなかったのですが、先日YA(ヤングアダルト)本の読書会、「YA*cafe」に行ってきました。運営しているサイト「teensbooks」でもレポートしていますが、こちらでは、テーマとなった本を紹介ご紹介します。

 今回選ばれた作品は、ドイツの作家、グードルン・パウゼヴァングの『みえない雲 』。ドイツの原子力発電所で爆発事故が発生、弟と2人家に残された14歳の少女の、過酷な避難生活を描いた作品です。


51C212P0HZL._SL500_AA300_.jpg
 チェルノブイリ原発事故翌年に発表され、ドイツ児童文学賞も受賞したこの作品は、日本でも児童書として刊行されました。本国では教材として使われたり、コミック版も出るなど20年以上読み継がれては、2006年に映画化、日本での公開に併せて文庫版が出ました。そして今回の大震災と福島第一原発事故を受け、あらたに訳者あとがきが加筆された文庫が6月に刊行しています。

 映画では恋愛要素が盛り込まれていたそうで、文庫本の表紙も若いカップルや草原の中自転車で走るシーンがあしらわれており、青春ドラマ的な話なのかなと思って読み始めたのですが…予想は完全に打ち砕かれました。原発事故が起きたらしい、という一報だけで、幼い弟を連れて避難を始めたヤンナ-ベルタは、パニックする人々、迫り来る黒い雲の下、悲劇に向かっていきます。物語は一貫してヤンナ-ベルタの視点で描かれており、実際にどんな事故だったのか、国や町がどうなっているかなどはわからないまま進み、情報がない、または錯綜している恐怖を読者も共有していくことになります。

 規模は違えど原発事故の影響下にあるなか、「核」「被爆者」「広島・長崎」といったことばがでてくると、事の深刻さを再認識する思いです。実際に放射能の影響が心配される今、不安を煽るような作品を読みたくないという方も多いでしょう。ただ、この本はチェルノブイリ事故直後に児童書として書かれ、20年経ってから映画にもなり、ドイツでは大人も子どもも原発事故から目を背かず向き合ってきたといえるでしょう。その結果、この国が脱原発を選ぶことにつながったのでは、とも思うのでした。

(文・神谷巻尾)

 

※当サイトのコラムはスタッフ個々の私的な見解及び文責にて公開されております。
ポチッと一票↓↓↓お願いします
人気ブログランキングへ にほんブログ村 子育てブログ 第2次反
抗期(思春期)へ
カテゴリ一覧