ファミリーの1歩先には親子スタイル

夜道を歩く

小学校六年生の春になって、突然息子が大手進学塾に通いたい、と言い出した。春休み、年度末の仕事に両親が心おきなく集中できるよう、春期講習に通わせたところ、
「授業が面白くて面白くて」
と、勉強嫌いな両親には想像もできない理由で塾を気に入り、どうしても通いたい、と言うのである。

近所の学習塾ならともかく、中学受験の大手である。皆さん5年生までに一通りカリキュラムを終えており、受験本番!という時期なので、正直、親としては悩んだ。費用も無料ではないし、六年生はただでさえ行事が多く、特に息子の小学校は市内でも行事の多さでもってなるだけあって、ひどいときには10日おきに行事があるというのに、スケジュール調整も大変である。

それでも息子の熱意に負け、お試しで一週間行かせたところ、なんとテストも受けたいと言う。自分の能力がどの位置にあるかを把握したい、という理由で、その頃には親もすっかり覚悟を決め、入会することにし、もうすぐ二ヶ月が経つのだが、塾に通うようになってから、息子と私たち夫婦の間に、新しい時間ができた。
それは塾のお迎えである。

以前、上のお嬢さんが中学受験のために駅前の進学塾に通われていた同級生のパパさんが、お嬢さんの塾が終わる時間に待ち合わせて一緒に帰宅するのが楽しみで、とおっしゃっていたのが、ようやくわかった気がする。
私も勤務を息子の塾に合わせ、駅で待ち合わせをしているのだが、息子が塾で新しく得た知識や、学校であったことを、夜道を歩く開放感からか、楽しげに、思い出し笑いなどしながら話してくれることに、新鮮な感動と、いつかこんな日がなくなってしまうというせつなさを覚える。この子と過ごす人生で、もしかしたら、今とても貴重な時間なのではないか、と思い、時に夜の闇に紛れて涙ぐむときすらある。

いつのまにか、肩の高さも変わらなくってきた。私の隣で押して歩く自転車ももう大人用だし、いつかは荷台に友だちや、好きな女の子を乗せる日も来るかもしれない。
そのときには、もう私は隣にはいさせてもらえないだろう。

塾通いはなかなか大変だが、異性の親子間では、恋愛以上に心ときめく、切ないデートの機会の場でもあるようだ。この短い期間をめいっぱい味わうつもりである。

(文責:平野だい)

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