ファミリーの1歩先には親子スタイル

初恋のつきそい

「ママ、ぼく、Aくんと一緒に、BくんとCちゃんのデートのつきそいを頼まれたんだけど、行っていい?」

奇妙奇天烈なことをとんでもないタイミングで言うのが得意な、小額6年生のわが息子。
とはいえ、さすがにこれにはわが耳を疑った。

「I beg your pardon?」

「だからさー、BくんがCちゃんに告白したって言ったでしょー。ぼくとAくんのつきそいでー。
それでつきあえることになって、デートに行きたいけど、一人じゃ無理だから、ついてきて、って、言われたの」

「(しばし黙考の上)だめです。ていうか、Bくんやばくない?君に恋愛相談したり、つきそい頼む時点で失恋決定じゃん」

「なにそれ」

「だって、あなた、アスペルガーだよ?人の最も繊細な感情について理解できなでしょう。経験もないのに。」

「それこそ失礼だね。ぼくは海外ドラマで心理学や恋愛について散々研究してきたし、ママのSST(ソーシャルスキルトレーニング)で、女性に対する対応も学んでるし、ブラジルではレディ・ファーストも習ったよ」

「海外ドラマって、犯罪心理学だし、恋愛もアメリカの高校生(glee)だよ?日本の一般的な恋愛と違うよ?」

「そりゃまあそうかもしれないけど、何も知らない同じ小学生より、心理分析について知っているぼくがそんなに悪いとは思えないし、アスペルガーで感情に左右されないから、冷静で公平な意見が言える、ってママも認めてるじゃん」

出ました。アスペルガー的屁理屈。これで引っ込むほど、もう私も初心じゃない。

「デートってどこに行くの?」

「ぼくはまず映画がいいってアドバイスしたんだけど、Cちゃんが映画嫌いだったんだよね(ほら、すでにアドバイスはずれてるじゃん)。女の子たちはショッピングモールがいいらしいよ」

「I beg your pardon?」

「それ嫌味たっらしいよ、日本語にしない?女の子たちはショッピングモールがいいんだって。ママも好きでしょ?女の子は好きな場所なんだね」

「いや、そうでなく。女の子たち、って誰?」

「Dちゃんと、Eちゃん」

これはますますいかん、と、私の頭の中で警鐘が鳴り響き、脳味噌はフル回転で、この屁理屈小僧になんと言えばいいかを必死で考えた。

「学校は子どもだけでショッピングモールに行くのを禁止しているよ」

「ママがついてくればいいじゃん」

「あんた馬鹿でしょ」

「なんでよ」

「友だちと親がわんさかついてくるデートに喜ぶ馬鹿がどこにいんの」

「だってそうしないと行けないんだったら、仕方がないじゃん」

だめだ、これは戦法を変えよう、と、私は考えた。

「君は女の子好きじゃない、って言ってなかったっけ?」

「好きじゃないよ。うざいもん。でも大丈夫、ゲイではないし、デートするのはBくんだし、ぼくとAくんはつきそいだし」

「あのね、たとえつきあってるのがその中の二人だけであっても、男女が対等な数で集団で出かければ、それはグループ交際といって、君もどちらかの女の子とつきあってると見なされるし、責任も生じるんだよ」

「・・・ええっ!?」

「それでもいいの?ほんとうに好きな人とデートはすべきだし、恋はいつ落ちるかわからないのに、そのとき、好きな人に彼女がいると誤解されるよ」

「それは困る」

「しかもショッピングモールの前にあるマンション、あそこには担任の先生が住んでるんだよ」

「まじで?うわー、じゃあ、やめとこ、って、Bくんに言うよ」

 

正直、Bくんの初恋成就のため、引率してやってもいいかなあ、と、一瞬は考えた私だったが、やはり、それでは彼らにとって、なんの意味も無いし、子どもとはいえ、立派なプライバシーの侵害だな、と思い、今回は上記の論法で息子を説得した。

しかし、いつかそのときは来て、息子は私になんの相談もせず、海外ドラマで仕入れた知識をもとに、好きな女の子をデートに誘い、平手打ちか甘い思い出のいずれかを土産に帰ってくるのだろう。

最近、急激に背が伸び、靴のサイズも私を大きくこえた息子が、その大きな怪獣のような足をぶらつかせながら、ソファに座って熱心に心理ドラマを見ている姿を眺めながら、そのとき、せめて平手打ちだけは避けれるように教育しておかないとなあ、と、複雑な思いを感じている。

※まだ幼い肩ですけどね。

 

(文:平野だい)

 

 

 

 

 

 

 

 

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