
前回の記事では、愛媛県の南海放送でおこなった社会実験をご紹介しました。活動の意義については、既に言い尽くしているのですが、このことについて今回は、別の視点から補っておきたいと思います。
放送局が主体となっておこなった社会実験ということで、前回はラジオが主役のプロジェクトというような説明をしました。しかし、ケータイ、ウェブサイト、ケータイを連動させたクロスメディアの実験だということは、ラジオを盛り上げるためだけにケータイやウェブサイトを利用したということではありません。もともとは日本民間放送連盟の助成で始まったプロジェクトですが、実施にあたっては、科学技術振興機構(JST)の戦略的創造研究推進事業(CREST)のひとつである「メディア・エクスプリモ」という研究グループと連携しました。
メディア・エクスプリモは昨年の夏、オーストリアのリンツで開かれたメディアアートの祭典「アルス・エレクトロニカ」で「ケータイ・トレール!」というシステムを発表し、これを用いたワークショップや路上パフォーマンスを現地でおこなっています。くわしくはこちらをご覧下さい。
http://www.mediaexprimo.jp/
南海放送でおこなった実験は、この「ケータイ・トレール!」の仕組みを下敷きにしており、より長期間の応用展開を試みたものでした。マスメディアやインターネットを取り巻く情勢を横断的に捉えたうえで、メディア社会の行く末を構想するというねらいがあり、そういう意味では、「高校生とラジオを考える」というこの記事のタイトルも、厳密には適切ではなかったといえます。

とくに、ケータイの規制論議に注目が集まっている今、子どもたちがケータイを徹底的に使いこなす活動をおこなったことには、「ラジオ再生」とはまったく別の意味合いがあります。文部科学省は1月30日、小中学校へのケータイの持ち込みを原則禁止とする通知を、全国の教育委員会などに示しました。しかし、この連載の最初に述べたように、子どもたちがいつかはケータイを所有することが避けられないという前提に立つならば、「所持させるか否か」「学校に持ち込ませるか否か」という選択ばかりを問うのではなく、どういう使い方を子どもたちに期待し、それを大人がいかに支援するのかという前向きな議論がなされていないのは、とてもまずいことだと思います。
こういう社会情勢のなかで、このプロジェクトにどういう意義があったのかということについて、つい先日、毎日jp(毎日新聞のウェブサイト)に掲載されたインタビューのなかで話していますので、ご覧いただければ幸いです。
http://mainichi.jp/life/electronics/jotsu/

また、2月20日には日本民間放送連盟において、このプロジェクトの成果を報告する会合が開かれます。南海放送の担当者と僕、システム開発を担当して下さった「メディア・エクスプリモ」の沼晃介さんが、一緒に報告をおこなう予定です。ご関心をお持ちの方は是非お越し下さい。
社団法人日本民間放送連盟〔民放連、会長=広瀬道貞・テレビ朝日取締役相談役〕の放送基準審議会〔議長=山本雅弘・毎日放送会長〕は、2009年2月20日(金)午後1時から、「民放連メディアリテラシー実践プロジェクト」報告会を開催します(会場:千代田区紀尾井町3−23文芸春秋西館、民放連3階会議室)。
このプロジェクトは、『メディアリテラシーの道具箱〜テレビを見る・つくる・読む』(民放連・東京大学メルプロジェクト編)をテキストとして、公募により決定した放送局のスタッフと中学・高校生が番組づくりなどを通じて、ともにメディアリテラシーを学び合うもので、18年度から5か年計画で実施しているものです。本年度は、チューリップテレビ、岡山放送、南海放送(ラジオ)の3社が実践を行いました。報告会では、3社の実践担当者に加え、ご協力いただいた有識者にもご報告いただきます。
民放各社の社員ならびに、メディアリテラシーに関心をお持ちの教育関係者など一般の方も参加いただけます。ぜひご参加くださるようお願いします。
■ 日 時 2009年2月20日(金)午後1時〜5時
■ 会 場 民放連3階会議室
(千代田区紀尾井町3−23文芸春秋西館)
■ 参加費 無料
■ プログラム
13:00〜13:05 開会あいさつ
戸恒 直
民放連メディアリテラシー実践プロジェクト・チーム主査
(日本テレビ放送網・コンプライアンス推進室長)
13:05〜13:55 実践報告① チューリップテレビ
チューリップテレビ担当者
水越 伸
民放連メディアリテラシー実践プロジェクト・チーム副主査
(東京大学大学院情報学環准教授)
13:55〜14:45 実践報告② 岡山放送
岡山放送担当者
土屋祐子
広島経済大学経済学部メディアビジネス学科講師
14:45〜15:00 休憩
15:00〜15:50 実践報告③ 南海放送
南海放送担当者
飯田 豊
福山大学人間文化学部メディア情報文化学科専任講師
15:50〜16:05 実践プロジェクトの成果〜参加者調査から
駒谷真美
民放連メディアリテラシー実践プロジェクト・チーム委員
(昭和女子大学初等教育学科短期大学部こども教育学科准教授)
16:05〜16:35 パネルディスカッション〜全体総括
水越 伸 土屋祐子 飯田 豊
16:35〜17:00 来年度公募ガイダンス
水越 伸 民放連事務局
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