2月8日(日)、広島県高等学校放送文化連盟の東部地区が主催する、「番組制作コンテスト」という行事の審査員長を務めさせていただきました。昨年の同じ時期に続いて、2度目のことです。この放送文化連盟というのは、広島県内の高等学校の放送部が加盟している団体で、この日のコンテストは、加盟校の放送部から応募があった番組を審査し、講評をおこなうというものです。
全国の多くの放送部員にとって一年で最大のイベントは、全国放送教育研究会連盟とNHKが共催する「NHK杯・全国高校放送コンテスト」で、アナウンス、朗読、ラジオドキュメント、テレビドキュメント、ラジオドラマ、テレビドラマ、校内放送研究といった部門があります。夏休みに全国大会がおこなわれるNHKホールは、放送部員にとっての甲子園(ちなみに、アナウンス部門と朗読部門の上位入賞者は、翌春の甲子園の司会進行役を依頼されるそうです)。僕は今年度、広島県大会でラジオドキュメント部門の審査員を務めました。
この日のコンテストは、来年度の広島県大会に備えた、いわば練習試合。ここで上位入賞を狙うというよりも、審査結果をしっかりと受け止めて、県大会に応募するまでのあいだに改善するための研修なので、審査員の発言をまとめる僕の責任は重大です。
今回審査したのは、ラジオドラマ作品7本。昨年よりも格段にレベルが上がっていて、お世辞抜きで驚嘆しました。音響効果などの演出技法には、制作環境の違いもあって、実力の差がありましたが、物語の構成力の水準が軒並み高かったのが印象的でした。
審査の基準としては、プロに近い水準であるかどうかではなく、あくまで「高校生らしさ」が求められます。NHK杯の開催要旨には、「高等学校の特色ある教育活動の中枢となる校内放送活動の健全な育成」、「美しく豊かな日本語を大切にする心情を育て、あわせて話す力、表現する力を高める」、「学園生活の中にうるおいを育て、心のふれあいの場をつくる」といった目標が掲げられており、高等学校の教育理念と密接に結びついているといえます。こうした理念を踏まえることで、NHK杯を目指している高校生たちが制作する作品は、ちょっと語弊があるかもしれませんが、「優等生」的であることが求められます。"高校生×ラジオ"といっても、【第3回】【第4回】の記事で紹介した取り組みは、学校教育の磁場が遮断されたところで実践したものだったので、まったく傾向が違っています。
それにも関わらず、今回の審査で印象だったのは、7作品すべてが例外なく、学校の教室もしくは部活の息苦しさ、そのなかでの身近な他者(クラスメイトもしくは部活の後輩)とのコミュニケーションの不自由さ、それらをどう乗り越えて「成長」するかということを作品のテーマに据えていたのでした(NHK杯への応募を控えているので、ここでネタばらしができないのが残念です)。『野ブタ。をプロデュース』というテレビドラマ(原作は白岩玄の小説)がありましたが、この作品で描かれていたような、殺伐とした教室とその状況の克服というテーマは、放送部の高校生たちの等身大のリアルではないでしょうけど、創作の前提として織り込み済みなのだということに驚きました。
過剰に「優等生」的でないことが純粋に嬉しかった反面、こうしたモチーフが(既存作品の影響も無意識に受けつつ)おそらく全国の同世代のあいだで共有されているという現状を自覚し、これからの創作に活かしていってほしいと思いました。このことを講評ではうまく話せなかったので、どのように伝えたらいいのだろうかということを、僕自身の課題として受け止めたのでした。
コメントする