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飯田先生が語る「思春期のメディア、その魅惑と可能性」 飯田豊プロフィール

新年度が始まりました。明日は僕が勤める大学の入学式です。キャンパスの桜はもうすぐ満開で清々しい心持ちの反面、大学教員は春休みが一年で最も研究がはかどる時期なので、やり残してしまったことを思うと気が重いです。

ところで今春、テレビ番組の編成が大きく変わりました。

平日の夜については、3月末からTBS系列で「総力報道!THE NEWS」という番組が始まりました(月〜金曜の17:50〜19:50、ただし18:05〜18:45はローカルニュース枠)。キャスティングは一新されましたが、夕方のニュースワイドが1時間繰り下がったような構成で、特筆すべき目新しさがないというのが率直な感想です。この改編によって「NEWS 23」は、番組の名前こそ存続したものの大幅に縮小し、いわゆる"ストレートニュース"の形態になったため、以前のような特集企画は無くなってしまいました(このこと自体についての思いもありますが、ここでは措いておきます)。それに対して、日本テレビ系列では明日から「サプライズ」という生放送のバラエティ番組が始まります(月〜金曜の19:00〜19:58)。

このふたつの系列局では、お昼のワイド番組も看板が変わりました。この大型の改編にともなって、たくさんの番組が終了するとともに、放送日時の"お引っ越し"をした人気番組も少なくありません。

この変化について、当事者であるテレビ局は、「生放送というテレビの原点に回帰する」といった主旨のPRをしています。たしかにテレビの歴史を紐解けば、街頭テレビで人気を博した力道山も、"お化け番組"と言われる「8時だよ!全員集合」も、そのライブ感によって大衆の圧倒的な支持を集めたという面があります。

しかし、広告収入の減少にともなう制作費削減の一環として、収録や編集の手間を要しない生放送を重視しているという本音は、広く知れ渡っています。制作費削減が番組のなかでネタにされることも珍しくなく、賞金を減額したクイズ番組もありました。

少ない予算で制作するノウハウは、お昼の番組に豊富です。生放送のワイド番組はもちろんですが、たとえば、「キユーピー3分クッキング」(日本テレビ系列)は収録にも関わらず、ノーカットで編集なしの"一発撮り"ですよね。昼間の番組で培われた手法を、テレビ局は果たして、うまくゴールデンタイムに活かすことができるでしょうか。

収録や編集に手間を掛けないことによる制作費の削減は、テレビ局の下請けをしている制作会社にとっては死活問題であり、いわゆる"非正規切り"に似た産業構造を孕んでいます。番組制作の現場に身を置いている友人や教え子もいるので、この風潮には憂慮しています。

テレビのことになると、どうしても暗い話になってしまいますが、画期的な試みが求められている状況だからこそ、負け越しの試行錯誤を重ねるなかで、突然変異的に面白い番組が出てくるのではないかという期待も強く、この一週間はTVウォッチャーでした。 "テレビ離れ"が進んでいる思春期の子どもたちが目を見張る番組が、果たして現れるでしょうか。その答えを探るため、もうしばらくウォッチを続けたいと思います。

ちなみに、優れた番組という指標からは少しズレますが(笑)、生放送の強みを意識した番組のなかで、たまたま目に触れて画面に釘付けになったのが、TBS系列の「ひるおび! バンバンバン」(金曜、13:55〜14:55)という新番組でした。制作は関西の毎日放送(MBS)。4月3日(金)の初回は、パーソナリティの板東英二さんが、兵庫県の天滝渓谷をひたすら登らされる様子を、1時間に渡って生中継するという企画でした。同行の男性アナウンサーが実況し、卵をゆでている地元の人が道中に待機しているなど、ドキュメントバラエティの演出がともなっていて、平たくいえば、地井武男さんの「ちい散歩」(テレビ朝日系列)と森脇健児さんの「走る男」(東名阪ネット6)の真ん中。歩いてきた道をカメラが振り返ると、同行するスタッフが実に40名(!)。カメラマンがいちばん大変なのは想像に難くありませんが、山麓に停めている中継車までケーブルを伝わなければならないため、若手のスタッフが一人当たり20kgのケーブルを抱えていたのでした。板東さんが少しずつ弱っていくなかで、歩くペースを指示する若いADに対して怒りをあらわにする場面もありました。

次週以降の展開が読めないので、果たして面白い番組になるのかどうか、もうしばらく注目したいところですが、冒頭に書いたように、明日から本格的に仕事が始まるので、平日の昼間の番組は当分、観ることができそうにありません。かといって、「後学のために」と自分に言い聞かせてはいても、平日に一日中テレビを観ているのは、やはりどこか後ろめたいのですが。

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