この連載も1年を突破し、今年最後の更新となりました。
前回の記事で告知をさせていただいたように(→【第24回】)、12月19日(土)、広島市で「地域文化とメディア実践 --瀬戸内で育まれる協働コミュニティ」という研究会が開催されました。僕が運営メンバーを務めている「メルプラッツ」というグループが定期的におこなっている公開研究会で、中国地方では初めての開催です(メディア・エクスプリモ=JST CREST「情報デザインによる市民芸術創出プラットフォームの構築」との共催)。今年1年の僕の活動を締めくくる上で、とても意義深い催しになりました(といっても、年を越してはいけない仕事はまだまだ片付いていないのですが・・・)。この研究会の趣旨は、次の通りです。
ニューメディア、マルチメディア、ユビキタス、クラウドなど新しいコミュニケーション技術にまつわるキーワードと共に「地域情報化」は繰り返し語られ、また取り組まれてきました。しかし過去の事例から明らかなように、上からの政策やインフラ主導の試みでは、人々の暮らしに根づかず、一過性のイベントとして終始しがちです。一方で最近では、様々なメディアを活用した、NPOなど市民主体の地域づくりの活動も各地で試みられていますが、資金や人手不足などの問題で持続可能性や広がりについて課題を残しています。
本研究会ではこうした問題意識をふまえ、地域に根ざしたメディア実践のあり方について、地域での活動を丁寧に見つめ直すことから議論したいと思います。
このような問題意識を受けて、広島県内で活躍されている二名の実践家に、お話をうかがいました。
まず、中国放送(RCC)の報道カメラマン(現人事部長)の平尾直政さん。瀬戸内海に浮かぶ小さな島「百島(ももしま)」の幼小中併設の学校で映像制作活動のサポートを務め、活動を通じて変わっていく子どもたちの姿を追っていらっしゃいます。その成果は「僕らの島をドキュメント!」という番組にまとめられ、2年前にDVD化もされています。この日の報告では、子どもたちの変化だけでなく、島の大人たちとの関わり、放送のプロであるご自身の変化についてもお話しいただきました。
RCCは2006年度、日本民間放送連盟が事業として実施しているメディアリテラシー実践プロジェクトに採択され、放送局が広島市内の子どもたちと一緒に番組制作をおこなうことで、互いにメディアリテラシーを学び合うという活動をおこなっていました。しかし残念ながら、民放連の支援は一年限りだということもあって、地域が主体となって活動を継続させることはできませんでした。僕は昨年度から民放連プロジェクトのアドバイザーを務めていて(→【第3回】、【第4回】)、プロジェクトの継続性をどのように担保することができるかが最大の課題であることから、RCCで民放連プロジェクトとは別に、こうした取り組みが継続的におこなわれていることは、とても素晴らしいことだと感じました。
もうお一方は、前回の記事で紹介した「シネマ尾道」の河本清順さん(→【第24回】)。平尾さんがフィールドにされている百島も尾道市で、意図していたわけではないのですが、尾道に関する事例報告が二本立てということになりました。僕は今年から尾道市の委員会で委員を務めていたり、来年度は尾道大学でメディア論の非常勤講師を務める予定であったり、ここ1年、尾道との縁が深まってきました。来年度は尾道市で子どもたちを対象とした映像制作ワークショップができればいいなとも考えていて、そういう立場でコメントを加えさせていただきました。高校が県立なのに対して、中学は市立。RCCが県域なのに対して、尾道ケーブルテレビは市域。しかし、自治体を単位として地域のメディア文化を考えるのではなく、大学やNPOがハブとなって、こうした壁を乗り越えていくことが大事で、理念としては当たり前のことなのですが、尾道という地域の資源をつないでいくことで、すぐにでも具体的な行動を起こせるという確信を持つことができ、心地よく年を越すことができそうです。
この日の研究会には、子どもコミュニティネットひろしまのみなさん(→【第2回】)、民放連プロジェクトで一緒に実践放送をおこなった岡山放送(OHK)の若手局員のみなさん、広島県高等学校PTA連合会のみなさん(→【第21回】、【第22回】)など、東京や大阪からいらっしゃった方々を含めて、僕がそれぞれ違う文脈で知り合った人たちが一堂に会しているということ自体が、とても奇跡的なことだと感じました。このこと自体が僕にとって最大の収穫でした。
来年もどうぞよろしくお願い致します。
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