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時給700円でどう生きるか 中学校、現実直視の授業
(朝日新聞より)

出口が見えない不況、正社員にもなれない時代。そんな中でどうやって自分を守っていけばいいか――。こんな「現実直視」の授業を中学校で展開する教員が出始めた。行く手は厳しいが、教え子たちに何とか身を立ててほしいという思いからだ。実践例は日教組の教研集会で報告される。

「だまされないで生きるため」

宮城県柴田町立槻木中学校の高木克純教諭(53)は、3年生の社会科の授業でこう板書して生徒たちに示す。年間で約30時間かける「したたかに生きぬくための経済学習」の一つだ。

授業では、若者の2人に1人が非正規雇用で働いている現実を伝える。例えば、時給700円だと月収は10万円ちょっと。中学生には大金だが、これで生活のすべてをまかなうとなるとどうか――。高木教諭は、こう順序立てて生徒たちに説く。アパートの家賃、食費、光熱費。一人暮らしの前提で家計簿をワークシート形式で書き込ませると、「毎日ご飯をファストフードで済ませても足りない!」「生活費以外を抑えないとやっていけない」という声が上がるという。

ハローワークの情報誌を素材に、雇用条件を把握するためにどうやって求人票を読み取るかもみんなで考える。派遣切りやリーマン・ショックなども授業で取り上げる。最初はピンときていなかった生徒たちも、授業が進むと「労働者がレンタル品みたいになっている」「派遣という形で安い賃金で働かされている」といった感想を口にするようになるという。

高木教諭は5年前からこうした授業を始めた。高校を卒業して就職できない教え子たちの姿をみて、中学の時から厳しい現実を伝え、乗り切るすべを考えさせねば、と考えたという。「子どもたちを取り巻く状況は暗い。しかし、その中で明るく元気に生きていく力を付けてほしい」

埼玉県戸田市立笹目中学校の萩谷洋教諭(55)もこれまで、「総合的な学習の時間」などで若者の雇用の厳しさを取り上げてきた。非正規雇用者の労働組合を作った元派遣社員の話を聞く。悪徳商法でだまされた人の体験本を読む。「ひっかけ」が入っているアンケート問題を読ませ、「だましを見抜く」授業も行ってきた。

萩谷教諭は理科が専門だが、生徒たちの将来を思うと、そんなことは言っていられないという。「学校でいくら勉強しても就職できるとは限らない」「やらざるを得なくて、こんな授業をやっているんです」(中村真理子)



中学、高校生にはとりあえず希望の大学に行くことだけを考えて、といっている親は多いように見受けられますが、大学を卒業したところで実社会では何の保証もありません。むしろ実社会のことを知らないまま荒波に放り込むことの方がはるかにリスキーです。

子どもたちを思う気持ちがあるなら、実社会で自立して生きていくために必要なことを教えなければなりません。親はいつまでもいないのですから、子どもたちにいつまでも甘えた気持ちでいさせるのではなくて、大人として生き延びていくために自分がどうしなければならないかを考えさせなければならないのです。

(ニュースセレクター:守護拓真)


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